島根大学 医学部救急医学講座 附属病院救命救急センター
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「ER」1st season 第15話 その1  「肺塞栓症」

ドラマERでは略語や独特の単語が多く出てきます。
同じ言い回しがよく使われていることに気づきます。
われわれの現場でもよく略語を使います。

42歳の男性がハンドボール中にたおれて搬送されます。

■6分50秒–7分57秒
collapse:倒れる。卒倒する。昏倒する。
40 palp:palpation:触診で収縮期血圧40 mmHg。
 血圧は正式には聴診で測定しますが、血圧が低くて測定しにくい場合や、時間がない場合に触診で測定します。
tachycardic 110:脈拍が110 と頻脈。 (tachy-:多いを表す。)
two liters NS in.:normal saline:生理食塩液。病院到着までに2リットル点滴を行っています。
O-2:酸素を毎分15リットル。酸素はO2ですが、字幕ではO-2になっています。

CBC:complete blood count:血算
 赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリット・白血球数・血小板数の検査
Chem-7:blood chemistry:血液生化学検査。7種類でしょうか。
 AST・ALT・尿素窒素BUN・クレアチニンCr などの検査です。
enzyme:酵素ですが、ERでは心筋梗塞を疑ったときに調べる心筋逸脱酵素:AST・LDH・CKなどのことです。
coag:coagulation:凝固機能。PT(プロトロンビン時間)・PTT(部分トロンボプラスチン時間)など。
 DIC(播種性血管内凝固症候群)や凝固異常を調べます。
ワーファリンなどを服用している人でも異常値になります。

EKG:Electrokardiogram:ドイツ語で心電図の略
英語ではelectrocardiogram なので略するとECGですが、
聞き間違いがおこりやすいので、EKGを使うことが多いようです。
 (英語読みでイーケージー、ドイツ語読みだとエーカーゲー)

Dr LewisはMI:myocardial infarction:心筋梗塞を疑っていますが、
Dr Greene はpulmonary embolism:肺塞栓症を疑っています。
O2を毎分15リットルマスクも投与しているにもかかわらず、
 酸素化が不良なので、心筋梗塞ではおかしいと思ったのです。
しかし心筋梗塞で肺うっ血になって酸素化不良になることもあり、
実際には、一瞥しただけで鑑別することは不可能ではないでしょうか。

spent a lot of time traveling, sitting. 長時間座ったままの旅行をしませんでしたか?
長時間座ったままの旅行で、下肢の静脈にできた血栓が流れて肺動脈に詰まると肺塞栓症になります。
economy class syndrome エコノミークラス症候群 として有名です。
エコノミークラスだけで発症するわけではないので、最近は
long flight syndrome ロングフライト症候群と呼びます。
また手術や病気で寝たままの人にも起こりやすいのです。

でも、この人にはそのような risk factor がないじゃないの、とDr Lewis は意見を変えず
心エコーをおこなおうとします。I need an echo.
Dr Greene は「心エコーは害のない検査だし、まあいいか」
肺塞栓症なら右心負荷の所見がみられますので、無駄ではないでしょう。

肺塞栓症の診断に VQ scan 肺の換気血流シンチグラフィ:ventilation-perfusion scintigraphy が有用です。
換気はできているのに血流がないVQ mismatch がみられます。
(perfusion の略がなぜかQになります)

■8分30秒–9分00秒
blood gases 血液ガス分析。動脈血の酸素分圧・二酸化炭素分圧や酸塩基状態などを調べる検査です。
pulse ox:oximeter:パルスオキシメーター。酸素飽和度(ヘモグロビンの何%が酸素化しているか)を、血液を採ることなく測定できる。日本ではサチュレーションモニター saturation monitor と呼ぶことが多い。

その後の場面で、Dr Greene が血栓除去術をおこなって救命しました。
saddle embolism:左右の肺動脈の分岐部にまたがるような形から、鞍 saddle と呼ばれます。
(よそでできた血栓が流れてきて詰まるのは塞栓症embolism。
その場でできた血栓で血管が詰まるのが血栓症thrombosis。です)

■25分50秒–26分50秒
52歳、男性。アイスホッケーの審判が搬送されました。
collapse:前述
hypotension:低血圧、血圧低下
この患者は普段hypertension:高血圧の薬を服用しています。

tachycardic:前述
diaphoretic:発汗している。この冷汗がある、というのは重要な所見です。
EKG:前述
enzyme:前述
ambu-bag:bag-valve-mask の通称。2nd season 第7話 その2 参照

mid-sternal pain:胸骨中央の痛み  胸骨:sternum
さあ、今度は心筋梗塞のようです。

除細動器が準備できる前にDr Lewis が前胸部叩打をおこなっています。
その刺激で心室細動が戻ることがあるからです。
(AHA2010でも、除細動の準備ができるまでに試みてもよいことになっています)
除細動をかける前に酸素を中止させています。
火花で酸素に引火する可能性があるからです。

■29分05秒–29分14秒
どうやら助かりそうですね。




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