ごあいさつ

地域と大学を結び世界に 発信する救急医療を目指して
地域と大学を結び世界に 発信する救急医療を目指して

2019年10月より島根大学医学部救急医学講座の教授を拝命しました岩下義明と申します。

私は埼玉県出身で、島根大学医学部へ入学し、卒業後は島根県立中央病院、北里大学救急医学、山形大学病院救急部、東北中央病院を経て、2011年から三重大学医学部附属病院救命救急センターで診療・研究・教育に従事してまいりました。

主な専門分野は救急・集中治療、とりわけ重症呼吸不全患者に対する人工呼吸、人工肺(ECMO)、栄養サポートチーム(NST) などです。特にECMOを用いた治療は、重症呼吸不全患者に対する最後の砦となる治療である一方、日本での治療成績は海外の成績に大きく後れを取っており、この治療法の有用性を日本国内に広めていくための活動もしてきました。

このような超重症急性期患者に携わる一方で、地域の病院からの紹介患者を全ては受けられないというジレンマ、地域の病院のスタッフ不足の中で重症患者診療を行わないといけないという現実も感じており、そのような地方の厳しい現実を疫学的研究として発表するという仕事もしてきました。また、救命救急センターでも圧倒的多数を占める超高齢者や、身体疾患よりも社会的問題が重要課題である患者に対し、現代医療は無力であるという現実にも矛盾を感じていました。

そのような地域の課題に取り組みたいという想いで、2018年10月からは、紀伊半島最南端の140床ほどの紀南病院や那智勝浦温泉病院といった、へき地の病院で非常勤の救急医として働きながら、地域の住民と共に医療に留まらない地方創生活動を行ってきました。このような活動を通じて、地方で魅力的な活動をしている人たちと大学のアカデミアや教育を結び付けることが、よりよい医療者の育成、そして地方への人材定着のカギになるのではないかと感じるようになりました。思えば私は8年ほど出雲に住んで、隠岐の島に行ったのは研修医の離島研修が最初で最後であり、島根県西部の町にはほとんど行ったことがありませんでした。さらに医療関係以外の職種の人と病院外で合うこともほとんどありませんでした。

様々な経験を経て、医療者・医学生が地域住民と触れ合うことにより、「人が好きで地域が好きで、地域をよくしたい」という気持ちで地域住民とつながるよりよい医療者が育成できるのではないかと考えるようになりました。さらに、世界の先進諸国も高齢化が進み日本と同様の課題感を持っていることから、日本の取り組みは今後世界からも注目されることになります。島根から新しい取り組みを英語で発表し、世界をリードしていく仕事をしていきたいと考えております。どうぞ長い目で見ていただき、診療科や病院の枠にとらわれずよりよい島根を作っていきたいと考えております。

なお、島根大学医学部救急医学講座は、救急・集中治療はもちろん、総合医療・地域医療のマインドを持った人材を幅広く募集しております。また、シフト勤務でもありますので医療以外の多様な生き方も許容します。この機会に一緒に島根から新しい救急医療の立ち上げを行いませんか。興味のある方はご連絡ください。

島根大学医学部救急医学講座
教授 岩下義明